私は「モツ」好きである。焼きでも煮込みでもこてっちゃんでもいい。
そんな私がずっと気になっていたお店がある。京成立石駅近くにある「宇ち多”(うちだと読む。多の字に濁点がついている)」。ネットの波にもまれているとき偶然見つけたお店で、煮込みといいもつ焼きといいなんともうまそうな画像が載っていた。
いつか行こう、と思っていたのだが、一念発起。出陣することに決めた。
が、どうも注文の方法が難しそう。もつ焼きの場合、まずモツの部位を注文して更に焼き方(塩とかタレとか素焼きとかナマとか)を伝える。この時点で、素焼きって?と疑問が沸く。しかしここまでは基本中の基本。更に通は焼き加減(レアをわか焼きというらしい)やお酢のトッピング(?)を指定する。
そもそも喫茶店で店員も呼べないほどの小心者の私。果たして無事満喫してこられるだろうか…気分はまさに「はじめてのおつかい」状態である。
改めてネットで注文のし方を予習し、イメージトレーニングをする。これだけは食べてやると思うものをピックアップ。例の注文方法を徹底的に暗記する。念の為、小さい紙切れにカンニングペーパーを作る(苦笑)。
開店は平日は午後2時。私は京成立石に1時10分に着いた。店の下見を兼ねて駅前を散策。既に店には2人ほど並んでいた。なかなか味のある商店街を見て、15分ほどして戻ってみたら既に列ができあがっていた。慌てて並ぶ。ぱっと見15番目くらいである。が、店の入り口はもう1ヶ所あるので30番目くらいの可能性もある。店の席数は確か39。きわどい…。
2時を迎え、開店。待ち遠しそうに店内を暖簾越しに覗いていたおいちゃん達、堰を切ったように店内になだれ込む。私はただ後についていくのみ…。何とか席を確保し安堵。やはり全員は入りきれなかったようだ。
いざ注文…。と思っても誰も何も言葉を発しない。誰かの注文を聞いてそれを参考にしようと思っていた私も当然沈黙を守る(ことしかできない)。と、店員さんが何かを叫んだ。が、聞き損じた。何人かのおいちゃんが手を挙げた。その人達に何か皿に入ったものが配られている。また店員さんが何かを叫んだ。またおいちゃん達手を挙げる。つられて私も挙げてみた。まさに見様見真似状態である。すると手渡されたのは割り箸…。予習しておいてよかった!煮込みの中に「ホネ」という数量限定な部位があり、その予約の印がこの割り箸なのである。よく分からないまま幻の「ホネ」をGET。少しして目の前に美味しそうな煮込みが置かれた。
しかし肝心のお酒が来ない。いつ注文するのかも分からない。「ホネ」お預けの犬のようである。が、ほどなくして店員さんが各々の前にグラスを置いていく。「うちだ」は客の大半が焼酎の梅割りというのを飲む。そのグラスだ。全員にグラスが行き渡ったところで酒を注いで廻る。ふと給食を思い出した。
注いで廻っている間にあちこちで他の注文を言い始める。いろんな言葉が飛びまわっている。とても口を挟める状態じゃない…。自分のグラスにお酒が注がれている瞬間を見計らって注文しようと思い、頭の中で注文の言葉を暗誦したが隣のおいちゃんに先を越されタイミングを逃してしまった…。とりあえず煮込みに専念する……。
次のチャンスは既にグラスが空になっている逆サイドのおいちゃんがお代わりを頼むときである。これを逃すとつまみなしでキツイ焼酎とタイマン張らなければならなくなる。おいちゃんが店員にグラスをかかげる。
「来るッ!」
焼酎の瓶を持って店員がそばにやってきた。「すいません。」声をかける。店員、グラスを見たまま「はい?」と返す。 「タンとハツ…ナマで……。」果たして伝わるか…。店員が大声で厨房にオーダーを伝える。私は少し大人になった。
後はこの繰り返しである。遠くにいる店員に声をかけることはできなかったので近くに来るのを待って、の注文。結構飲み食いできた。確かにうまい。列ができるのも頷ける。
堀切菖蒲園にある「小島屋」や「きよし」といった飲み屋に行った時にも感じたことだが、こういうお店には見えないオーラがあって一見さんは入りにくい。勿論、一見だからといって冷たくされることなどない。むしろ一見でも常連と同じように扱ってさえくれる。だから一見側の思い込みかもしれないが、雰囲気に溶け込めないのは確かだし、暗黙のルールをしっかり調べておかなければ雰囲気を壊してしまうことも間違いない。もう少し素人に優しくしてくれれば…というのはわがままかな?
帰り道、頭の中でBBクイーンズの歌が廻っていた。

この日の成果
梅割り×3、サイダー(チェイサー代わり)、煮込み(ホネ)、タンナマ、ハツナマ、レバナマ、シロタレ、アブラタレ 各170円 しめて1700円の大冒険。
最近のコメント