昨日の朝、猛烈なひざの痛みで目が覚めた。
今まで味わったことのない痛みだった。「寝違え?」 幼少の頃、首を寝違え救急車で運ばれたことのある私はふとかつての、トラウマにも似た激痛を思い出した。 痛みは寝起きでいささかボーっとしている脳を直接攻撃してくる。もう一度寝て起きれば治っているかも…。そう思って2度寝に入ろうとした。が痛くて眠るどころではない。2度寝を諦め、恐る恐る体を起こし歩いてみることにした。やはりろくに歩けない。まっすぐ立つこともままならない。ちょっと武藤敬司のような立ち姿だ。
医者に行こう。珍しく私はそう即決した。早速身支度を整え家を出た。近所、歩いて5分ほどのところに外科があるのでそこへ向かった。評判は知らないが地域では一番の老舗の(?)外科で、検査機器も充実している。いざ通うことになっても近いから行き易い。いくら近いといっても歩くことがままならないので原付で行くことにした。妻が心配そうな寝顔で見送ってくれた。
待つこと2時間。ようやく診察の順番がきた。初めての病院ほど不安なものはない。システムも分からず、いつ出番がくるかも分からず、どんな先生でどんな治療が施されるかも分からない。そんな四面楚歌の中の2時間はとてつもなく長くそして怖かった。唯一「スギモトアヤコ」という名のおばあさんが目の前を歩いていった瞬間以外は…。
「レントゲンを撮ってみましょう。」男の医師はひととおり診察した後そう言った。「MRIもやります。」更にそう付け加えた。原因不明の激痛だ。徹底した検査を期待してこの病院を選びここまで待ったのだ。本当はいきつけの(バーじゃないんだから…)接骨院に行きたかった。が、今回、あまりの痛さがそれを許さなかった。いざ検査が決まるとやはりちょっと怖気づいたが今更逃げ出すわけにはいかない。
レントゲンの後、初の「MRI」。「4,50分かかります。」検査技師はそう言った。「え?そ、そんなに…。」確かに時間がかかるのでトイレに行くように言われてはいたがそんなにかかるとは思わなかった。先生の言われるままベットに横になり「上半身は多少楽にしていいですよ。ただし下半身はじっとして動かさないように。木で鉄を叩くような金属音が続きますが我慢してください。それ以外特に何もないので心配しなくていいですよ。」そう説明を受けた。私は緊張で固まったまま『かまくら』のような機械を見上げた。
視界には「MRI」と天井しかない。始まって1、2分。早くも暇を持て余し始めた。検査はもう始まっているのだろうか。まだ金属音は聞こえない。ガチガチに力の入った身体にようやく気がついたがもし始まっているとしたら、と思うと動くわけには行かない。 「あなた、今動きましたね?もう1度やりなおしです。検査料は2回分いただきます。」そんなことになったら大変だ。その時、ガチャ、とドアが開いて「じゃ、始めます。」そう告げられた。その声に反射的に再び緊張してしまい、結局力を抜くことが出来ないまま本格的に検査が始まってしまった。
例の金属音は、どちらかといえばDJのようなノリだった。リズムよく「グゥオン・グゥオン」と「ヴヴヴヴヴ」を繰り返し、なかなかいいカンジだ。もっと耳にキンキンくるような音を想像していただけにこれなら耐えられる。そのうち音は「ヴォヴォヴォ」を繰り返すようになり、ちょうど工場で聞く回りっぱなしのエアーコンプレッサーのような状態になった。が、これも職場で聞いているだけに嫌悪感や圧迫感は全くなかった。下半身だけだからだろうか…。
その代わり暇なのだけはつらかった。おまけに全身の硬直が解けはじめ、あちこちジンジンし始めた。眠ってしまおうか、とも考えたが緊張感で眠れそうにない。元々空想癖(妄想癖)があるので考え事をしようと考えた(?)。がそれもうかつにオトナな空想に走ったら大変だ。「あなた、今動きましたね?もう1度やりなおしです。検査料は2回分いただきます。」そうなったら穴に入ってもMRIに全身すっぽり入っても恥ずかしさは消せそうもない。そこで明日の秋華賞の予想をすることにした。
まずは語路合せ。目前に迫った日本シリーズ。中日落合は背番号66。北海道日本ハムヒルマンは88。そして第11回の秋華賞。1-6-8の組合わせはどうか。または各枠の有力馬で組合わせる。1枠1番キストゥヘヴン6枠12番カワカミプリンセス8枠16番アサヒライジング。個人的には④シェルズレイに注目。安定感ある本命馬⑨アドマイヤキッス。連下で②ソリッドプラチナム⑥ブルーメンブラット⑮ニシノフジムスメあたりと絡めたい。
さて、そんなこんなしているうちにようやく解放された私は先生の「ご苦労様でした。」というねぎらいの言葉を受けながらゆっくりと起きあがった。初めてアムロが乗り込んだガンダムのような状態だ。ふとなぜか左腕が物凄く痺れていることに気がついた。
検査結果。私は軽度の『半月板損傷』と診断された。半月板損傷といえば大変な怪我だ。よく格闘家やプロスポーツ選手がなるイメージもある。私は日夜工場で機械と格闘しているがそれでもただのしがない製造業者だ。半月板を損傷するとは考えにくい。眠っている間にノゲイラでも忍び込んだのだろうか。いや、もしかしたら隣で寝ていた妻がノゲイラだったのか。そう考えるしかない状況だ。私は医師に原因を尋ねてみた。「一般的に外傷からくることが多いです。」やはり夜中に『膝十字』をかけられたんだ。「しかし年々すりへってきて…ということもあります。」と説明した。え!?それって老化って事??
その後キツイ注射を一本食らって病院を4時間ぶりに出た。帰ってパソコンで「半月板損傷」を調べてみたら『若年層は外的要因でなることが多い。老年層は老化によるものが多い。」そう書かれていた。最近ニンテンドーDSで脳年齢の若返りを実践してきたが、現実に目を向け身体の若返りを目指さなくては…そう誓った。
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